特殊清掃はいつから依頼できる?特殊清掃の流れやメリットを紹介
2025.04.07(最終更新日)

✔ 人が亡くなったお部屋の特殊清掃を依頼する流れ
✔ 特殊清掃会社に依頼するメリット
人が部屋で亡くなった場合、通常の清掃では対応できない特殊な状況が発生します。血液や体液の除去、強い臭いの消臭、そして感染症対策など、専門的な知識と技術が必要となるケースでは「特殊清掃」が必要になります。
「特殊清掃はいつから依頼できるの?」「費用はどのくらいかかるの?」「少しでも費用を抑える方法はある?」など、突然このような状況に直面すると、さまざまな疑問や不安が生じるでしょう。
この記事では、所有物件で借主が亡くなった大家さんや、一人暮らしをしていた家族が亡くなり部屋の清掃が必要になった方に向けて、特殊清掃の依頼時期、費用相場、依頼できる内容などを詳しく解説します。不安な状況での参考にしていただければ幸いです。
特殊清掃はいつから依頼できる?
特殊清掃が必要になるのは、主に人が部屋で亡くなり、発見が遅れたケースです。では、いつから特殊清掃を依頼できるのでしょうか?
人が部屋で亡くなった場合の特殊清掃手順
人が部屋で亡くなった場合、以下のような流れで対応することになります。
1. 発見と通報
まず、亡くなった方を発見したら、すぐに警察に通報する必要があります。これは事件性の有無を確認するためで、自然死であっても必ず警察への通報が必要です。
2. 警察による検視・検証
警察が到着すると、検視や現場検証が行われます。これは死因の特定や事件性の有無を調査するための重要なプロセスです。この間は、部屋の状態を変えることはできません。
3. 遺体の搬送
検視が終わると、遺体は葬儀社や医療機関に搬送されます。
4. 特殊清掃の依頼が可能に
警察の現場検証が終わり、「死体検案書」が発行されてから、初めて特殊清掃を依頼できます。つまり、警察の現場検証が終了するまでは、特殊清掃を開始できません。
通常、事件性がない場合は数時間程度で終わることが多いですが、状況によっては1日以上かかることもあります。特に事件性が疑われる場合は、より詳細な調査が行われるため、時間がかかります。
警察の検証が終わったら、できるだけ早く特殊清掃業者に連絡することをお勧めします。多くの特殊清掃業者は24時間対応しており、現場検証が終わり次第、すぐに対応してくれます。
特殊清掃の依頼は早めがいい?
特殊清掃の依頼は、できるだけ早く行うことをお勧めします。その理由はいくつかあります。
1. 状態の悪化を防ぐ
時間が経つほど、血液や体液の浸透が進み、臭いも強くなります。特に夏場は高温多湿の環境で腐敗が早く進むため、状態が急速に悪化する可能性があります。早めに対応することで、状態の悪化を防ぐことができます。
2. 費用の抑制につながる
状態が悪化すると、それだけ清掃の範囲や作業量が増え、費用も高くなりがちです。例えば、初期段階では表面的な清掃だけで済むケースでも、時間が経つと床材や壁材にまで汚染が広がり、これらの交換が必要になることもあります。
3. 精神的な負担の軽減
大切な方を亡くされた状況で、汚染された現場を長時間放置することは、精神的にも大きな負担となります。早めに特殊清掃を依頼することで、その負担を軽減できます。
4. 二次被害の防止
放置すると害虫が発生したり、臭いが周囲に広がったりするなどの二次被害が生じる可能性があります。特に集合住宅では、隣接する部屋に影響が及ぶこともあるため、早めの対応が重要です。
「でも、費用が心配…」という方もいるでしょう。しかし、上記のように早めに対応することで、結果的に費用を抑えられることが多いのです。また、多くの特殊清掃業者は無料で見積もりを行っていますので、まずは相談してみることをお勧めします。
特殊清掃業者に依頼できること
特殊清掃業者は、どのようなサービスを提供しているのでしょうか?実は、孤独死や事故死の現場清掃だけでなく、さまざまな特殊な状況に対応しています。
孤独死/事故死/自殺現場
最も一般的な特殊清掃のケースは、孤独死や事故死、自殺などで人が亡くなった現場の清掃です。これらの現場では以下のような作業が行われます。
・特殊な洗剤や機材を使用して、床・壁・天井などに染み込んだ血液や体液を除去
・目に見えない微小な血液痕も特殊な検知薬で発見し、徹底的に除去
・専用の消臭剤や機材(オゾン発生器など)を使用した徹底的な消臭
・医療レベルの除菌剤を使用した消毒作業
・発見が遅れたケースでは害虫が発生していることもあり、専門的な駆除を実施
・汚染された寝具やカーペット、家具などの適切な処分
・感染性廃棄物としての正しい処理
孤独死の現場では、特に発見が遅れたケースで臭いの問題が深刻になることが多いです。特殊清掃業者は、一般の清掃会社では対応できない強力な消臭技術を持っています。
火災現場
火災が発生した後の清掃も特殊清掃の一つです。火災現場では以下のような作業が行われます。
・壁や天井、家具などに付着したすすの除去
・エアコンやダクト内部の清掃
・火災特有の臭いの除去
・オゾン脱臭や特殊消臭剤の使用
・焼けた家具や家電の撤去・処分
・使用できなくなった建材の除去
・煙害を受けた衣類や寝具のクリーニング
・貴重品や思い出の品の洗浄・復元
火災後の清掃は、見た目の汚れだけでなく、目に見えない有害物質や臭いの除去も重要です。専門的な知識と技術を持つ特殊清掃業者に依頼することで、安全かつ効果的に清掃を行うことができます。
ゴミ屋敷の清掃
近年増加しているのが、いわゆる「ゴミ屋敷」の清掃依頼です。大量のゴミや不用品がたまった状態の部屋の清掃には、特殊な対応が必要です。
・一般ゴミ、資源ゴミ、粗大ゴミなどの適切な分別
・廃棄物処理法に基づいた適正な処分
・ゴキブリやダニ、ネズミなどの害虫・害獣の駆除
・再発防止のための対策
・長期間放置されたゴミによる汚染の除去
・カビや細菌の繁殖に対する消毒作業
・長期間放置されたゴミや食品の腐敗による臭いの除去
・建材に染み込んだ臭いの除去
ゴミ屋敷の清掃は単なるゴミの撤去だけでなく、衛生面や安全面でも専門的な対応が必要です。特に腐敗した食品や排泄物がある場合は、感染症のリスクもあるため、適切な防護措置を取った上での作業が必要です。
遺品整理
大切な方が亡くなった後の遺品整理も、特殊清掃業者が対応しています。単なる不用品の処分ではなく、故人の想いを尊重した丁寧な作業が行われます。
・貴重品(現金、通帳、宝飾品など)の探索・保管
・思い出の品(写真、手紙、記念品など)の整理・保管
・日用品や家具などの仕分け
・リサイクル可能なものの分別
・粗大ゴミなどの適切な処分
・必要に応じて特殊清掃も同時に実施
・一貫した対応による効率化
・故人や遺族の気持ちに配慮した丁寧な対応
・プライバシーへの配慮
遺品整理は故人の人生の集大成とも言える大切な作業です。特殊清掃業者は、単に物を処分するだけでなく、故人の想いや遺族の気持ちに寄り添った対応を心がけています。
害虫発生時の駆除作業
特殊清掃業者は、害虫の大量発生時の駆除作業も行っています。特に孤独死の現場では、発見が遅れると害虫が発生していることが多くあります。
・特殊な薬剤を使用した徹底的な駆除
・幼虫や卵の段階での処理
・建材の隙間や家具の裏など、目に見えない場所の駆除 ・再発防止のための処理
・侵入経路の特定と封鎖
・汚物などの汚染物質の除去と消毒
・再発防止のための対策提案
・定期的な点検・メンテナンスの提案
害虫駆除は単に目に見える虫を除去するだけでなく、卵や幼虫を含めた徹底的な対策が必要です。また、害虫の発生原因を特定し、再発防止のための対策も重要となります。
孤独死現場の特殊清掃の価格帯は?
特殊清掃を依頼する際に最も気になるのが費用ではないでしょうか。ここでは、間取りや作業内容別の費用相場について解説します。
戸建てやマンションの間取りによって変わる
特殊清掃の費用は、部屋の広さや間取りによって大きく変動します。一般的な相場は以下の通りです。
・基本清掃費:15万円〜25万円
・消臭・除菌:5万円〜10万円
・合計目安:20万円〜35万円
・基本清掃費:20万円〜35万円
・消臭・除菌:8万円〜15万円
・合計目安:28万円〜50万円
・基本清掃費:30万円〜50万円
・消臭・除菌:10万円〜20万円
・合計目安:40万円〜70万円
・基本清掃費:50万円〜80万円
・消臭・除菌:15万円〜30万円
・合計目安:65万円〜110万円以上
これらはあくまで目安であり、実際の費用は現場の状況によって大きく変動します。例えば、発見が早く汚染が軽度の場合は下限に近い費用で済むことが多いですが、発見が遅れて汚染が重度の場合は上限を超えることもあります。
「思ったより高額…」と感じられるかもしれませんが、特殊清掃は専門的な知識と技術、特殊な装備や薬剤が必要な作業です。また、作業員の感染リスクなども考慮されています。複数の業者から見積もりを取ることで、適正な価格での依頼が可能になります。
清掃作業内容や範囲によって変わる
特殊清掃の費用は、必要な作業内容や清掃範囲によっても大きく変わります。人が亡くなった現場の清掃では、主に以下のような作業項目があります。
・血液・体液の除去:10万円〜30万円
・消臭・除菌処理:5万円〜20万円
・床材の交換(部分的):5万円〜15万円
・壁紙の張替え:3万円〜10万円
・天井の処理:3万円〜10万円
・害虫駆除:3万円〜10万円
・オゾン脱臭(追加):3万円〜8万円
・特殊機材による徹底消臭:5万円〜15万円
・遺品整理(基本):5万円〜20万円
・不用品回収:3万円〜15万円
・家具・家電の処分:品目により異なる
特に影響が大きいのが「発見までの期間」です。亡くなってから発見までの期間が長いほど、体液の浸透や腐敗が進み、作業範囲や難易度が上がるため、費用も高くなります。
・1〜3日以内:基本料金の1〜1.2倍程度
・1週間程度:基本料金の1.5〜2倍程度
・2週間以上:基本料金の2〜3倍以上
また、季節によっても費用は変動します。特に夏場は高温多湿の環境で腐敗が早く進むため、同じ日数でも冬場に比べて状態が悪化しやすく、費用が高くなる傾向があります。
これらの費用は公開されている料金表をもとにした一般的な相場であり、実際の費用は現場の状況や地域、業者によって異なります。正確な費用を知るためには、特殊清掃業者による現場確認と見積もりが必要です。
特殊清掃の費用を抑えるためには?
特殊清掃は決して安くはありませんが、いくつかの方法で費用を抑えることが可能です。ここでは、費用を抑えるためのポイントを紹介します。
すぐに特殊清掃業者へ相談する
前述したように、発見から時間が経つほど状態は悪化し、費用も高くなります。そのため、警察の現場検証が終了したら、すぐに特殊清掃業者に相談することが重要です。
・汚染の広がりを最小限に抑えられる
・臭いの建材への浸透を防げる
・害虫の発生を防止できる
・結果的に清掃費用を抑えることができる
「でも、何から始めればいいかわからない…」という方も多いと思います。まずは電話やメールで特殊清掃業者に状況を伝え、相談してみましょう。多くの業者は24時間対応しており、初期相談は無料で行っています。
また、特殊清掃業者は現場での対応経験が豊富なため、状況に応じた適切なアドバイスをしてくれます。遠慮せずに不安や疑問を伝えることが大切です。
相見積もりで費用を比較する
特殊清掃の費用は業者によって異なるため、最低でも2〜3社から見積もりを取り、作業内容や料金を比較することが重要です。単に安さだけで選ぶのではなく、作業範囲や追加料金の有無、業者の実績や評判も考慮しましょう。
・最低でも2〜3社から見積もりを取る
・見積もり内容の詳細(作業項目や範囲)を確認する
・追加料金の有無や条件を確認する
・実績や評判も併せて検討する
「安ければいい」というわけではなく、必要な作業がしっかりと含まれているかを確認することが重要です。例えば、見積金額は安くても、後から追加料金が発生するケースもあります。
また、見積もり時には以下の点も確認しておくとよいでしょう。
・支払い方法や時期
・作業完了後の保証内容
・キャンセル料の有無や条件
・作業日数や立ち会いの必要性
信頼できる業者を選ぶためにも、実績や口コミを確認し、誠実な対応をしてくれるかを見極めることが重要です。
・作業中の写真を無断で撮影・公開する
・依頼者のプライバシーを軽視した発言や行動
・ずさんな清掃でニオイや汚れを十分に除去しない
・事前の説明なしに追加料金を請求する
金額が安くても必要な作業が省かれていたり、後から追加料金が発生するケースもあるため、総合的に判断することが大切です。
特殊清掃を依頼するメリット
特殊清掃に費用がかかるとはいえ、プロに依頼することには多くのメリットがあります。ここでは、特殊清掃を専門業者に依頼するメリットについて解説します。
短時間で確実に部屋を綺麗にできる
特殊清掃業者は、専門的な知識と技術、そして経験を持っています。そのため、一般の方では対応困難な状況でも、短時間で効果的に清掃することができます。
・特殊な洗剤や機材を使用した効率的な清掃
・経験に基づいた的確な対応
・チームでの作業による時間短縮
・見えない汚染箇所も特定して処理
例えば、一般の方が自力で清掃しようとすると数日かかる作業でも、プロなら半日〜1日程度で完了させることができます。また、目に見える汚れだけでなく、目に見えない微小な血液痕なども特殊な検知薬を使用して発見し、徹底的に除去します。
時間的な効率だけでなく、精神的な負担の軽減という点でも大きなメリットがあります。大切な方を亡くされた状況で、汚染された現場と向き合うことは非常につらいものです。プロに任せることで、その精神的負担を軽減できます。
自分では消臭できない臭いを確実に消臭できる
孤独死現場などで発生する強い臭いは、一般の消臭剤では対応できないことがほとんどです。特殊清掃業者は、このような強い臭いも効果的に除去できます。
・特殊な消臭剤の使用(市販品とは成分・濃度が異なる)
・オゾン発生装置による分子レベルでの消臭
・イオン発生装置による持続的な消臭
・必要に応じた建材(畳、床材など)の交換
特に発見が遅れたケースでは、臭いが建材に深く染み込んでしまっていることが多いです。こうした場合、表面的な処理だけでは臭いは残ってしまいますが、特殊清掃業者は建材の交換も含めた根本的な対策を行うことができます。
多くの特殊清掃業者は作業後の臭いチェックも徹底しており、必要に応じて追加の消臭作業も行います。確実に臭いを除去することが、特殊清掃業者の使命と言えるでしょう。
感染症を防ぐことができる
人が亡くなった現場には、さまざまな細菌やウイルスが存在する可能性があります。特殊清掃業者は、これらの病原体を適切に除去し、感染症のリスクを防ぐことができます。
・医療レベルの消毒剤による徹底的な除菌
・専用の防護服や装備による安全な作業
・感染性廃棄物の適切な処理
・目に見えない微生物まで除去する特殊技術
自分で清掃を行う場合、適切な防護具がなければ感染症のリスクにさらされる可能性があります。特に傷や切り傷がある場合は、血液由来の感染症のリスクが高まります。
また、不適切な処理によって感染症が広がるリスクもあります。特殊清掃業者は、感染症対策の専門知識を持ち、安全かつ効果的に病原体を除去できます。次に住む方や周囲の方の健康を守るためにも、プロの対応が重要です。
部屋が散らかっている場合片付けを依頼できる
孤独死現場では、部屋が散らかっていたり、いわゆる「ゴミ屋敷」状態になっていたりすることもあります。特殊清掃業者は、こうした状況にも対応可能です。
・大量のゴミや不用品の仕分け・処分
・リサイクル可能なものの分別
・貴重品や思い出の品の保管
・法律にのっとった適切な廃棄物処理
特に遺品整理と特殊清掃を同時に依頼することで、効率的に作業を進めることができます。また、一般のゴミ処理業者では対応が難しい、感染性廃棄物(血液や体液が付着したもの)なども適切に処理してくれます。
「どこから手をつければいいかわからない」という状況でも、特殊清掃業者は豊富な経験から効率的に作業を進めることができます。部屋の状態が悪くても、諦めずにまずは相談してみることをお勧めします。
遺品や不用品を買い取ってもらえることがある
特殊清掃業者の中には、遺品や不用品の買取サービスを行っているところもあります。価値のあるものを適正価格で買い取ってもらうことで、特殊清掃の費用を一部相殺できる可能性があります。
・骨董品や美術品
・ブランド品や高級時計
・貴金属やジュエリー
・古銭や切手コレクション
・状態の良い家電製品
・楽器や趣味の道具
特殊清掃業者はさまざまな物品を見てきた経験から、価値のあるものを見分けることができます。大切なものを不用品として捨ててしまう前に、一度相談してみるとよいでしょう。
ただし、買取サービスを行っていない業者もありますので、事前に確認しておくことが大切です。また、買取価格は市場価値や状態によって異なりますので、必ずしも高額になるとは限らないことをご理解ください。
まとめ
特殊清掃は、警察の現場検証が終了し、「死体検案書」が発行されてから依頼できます。早めの対応が汚染の広がりを防ぎ、結果的に費用を抑えることにつながります。費用相場はワンルームで20万円〜、3LDK以上で65万円〜が目安ですが、複数業者から相見積もりを取ることでコストを抑えられる可能性があります。
専門業者に依頼することで、短時間での確実な清掃や消臭・除菌、感染症対策が可能になり、遺品整理まで対応できる場合もあります。特殊清掃は決して安くありませんが、健康リスクや精神的負担を考えると、その価値は十分にあります。不安がある場合は、まずは無料相談を利用し、専門家に相談することをおすすめします。