ペット不可物件で犬や猫を飼っていた場合の退去費用は?完全消臭なら特殊清掃業者へ
2025.06.12(最終更新日)

賃貸物件で猫や犬などのペットを飼育していると、退去時に頭を悩ませるのが「臭い」の問題です。特にペット不可の物件で内緒で飼っていた場合は、原状回復費用が高額になるリスクがあります。
この記事では、ペット不可物件で猫や犬を飼っていた場合の退去費用の相場や、効果的な臭い対策として特殊清掃業者による消臭サービスについて詳しく解説します。退去時のトラブルを最小限に抑えるための参考にしてください。
目次
ペット不可物件で猫や犬を飼っていた場合の退去費用は?
ペット不可の物件でペットを飼育していた場合、契約違反となるため通常よりも厳しい原状回復を求められることがあります。動物の種類によって対応が異なる場合もありますので、猫と犬それぞれのケースについて見ていきましょう。
猫を飼っていた場合
猫を飼育していた部屋の原状回復には、主に以下のような範囲が含まれます。
1. 壁紙の交換
猫の爪とぎによる壁紙の損傷や、尿の飛び散りによるシミなどがある場合は、部分的または全面的な壁紙の張り替えが必要になります。特に尿のシミがある場合は、下地処理も含めた施工が必要となり、費用が高くなります。
2. フローリングの修復または交換
猫の尿がフローリングに染み込んでいる場合、単なる清掃では臭いを完全に除去できません。状態によっては、フローリングの部分張り替えや全面張り替えが必要になることもあります。
3. 畳の表替えまたは交換
和室がある場合、畳は猫の尿を吸収しやすく、一度染み込むと完全な除去が非常に困難です。多くの場合、表替えが必要となり、重度の場合は畳の完全な交換が必要になります。
4. ドアや建具の修復
猫の爪とぎによるドアや建具の傷、尿などによる腐食がある場合は、修復または交換が必要になります。
5. 天井や高所の対応
キャットタワーを設置していた場合や猫が高所を好む場合、壁の上部や天井付近に体脂や毛が付着していることがあります。これらの清掃も原状回復の対象となることがあり、高所作業となるため費用が割高になる傾向があります。
6. 床下浸透の対処
長期間にわたって同じ場所で排泄が繰り返された場合、フローリングの隙間から床下まで尿が浸透していることがあります。このような場合、床材の剥離と床下の消臭・除菌処理が必要となり、特に費用が高額になります。
・軽度の場合(臭いやわずかな傷のみ):5〜10万円
・中度の場合(尿染みや目立つ傷がある):10〜20万円
・重度の場合(広範囲に渡る損傷や臭い):20〜40万円以上
特に猫の尿臭は建材に深く染み込みやすく、一般的な清掃では完全に除去することが難しいため、特殊清掃や建材の交換が必要になるケースが多いです。
犬を飼っていた場合
犬を飼育していた場合の原状回復には、以下のような範囲が含まれることが一般的です。
1. フローリングの修復
犬の爪による引っかき傷や、排泄物による染みなどがある場合は、フローリングの修復または交換が必要です。特に大型犬の場合は、爪による傷が深く、広範囲に及ぶことがあります。
2. 壁紙の交換
犬が壁をかじったり、体を擦りつけたりすることによる壁紙の損傷、また排泄物の飛び散りによるシミなどがある場合は、壁紙の張り替えが必要になります。
3. ドアや窓枠の修復
犬が扉や窓枠をかじったり、引っかいたりした痕がある場合は、修復または交換が必要になります。
4. 臭いの除去
特に室内での排泄や体臭が建材に染み込んでいる場合は、専門的な消臭処理が必要です。犬の排泄物の臭いは、猫に比べてアンモニア臭が強いことが特徴です。
・小型犬で軽度の場合:5〜15万円
・中型犬または中度の損傷:15〜25万円
・大型犬または重度の損傷:25〜50万円以上
犬種や大きさ、飼育期間によって損傷の程度が大きく異なりますが、特に大型犬の場合は、爪による物理的な損傷が広範囲に及ぶことが多く、修復費用が高額になる傾向があります。
退去前にペットの臭いを自分で完全消臭できるか?
退去前に自分でペットの臭いを消そうと考える方も多いでしょう。ここでは、自力での消臭の可能性について検討してみましょう。
自分で完全消臭は難しい?
残念ながら、自分の手だけでペットの臭いを完全に消すことは非常に難しいのが現実です。その理由はいくつかあります。
1. 臭いの浸透性
ペットの排泄物に含まれるアンモニアや尿素などの成分は、時間の経過とともに床材や壁紙に深く浸透します。特に多孔質の建材(木材、畳、カーペットなど)に染み込んだ臭いは、表面的な清掃だけでは除去できません。
2. 化学変化による臭いの定着
尿などに含まれる成分は、乾燥や時間経過によって化学変化を起こし、より強固に臭い成分が建材に定着します。このような変化を起こした臭い成分は、市販の消臭剤では中和しきれないことが多いです。
3. 見えない汚染箇所の存在
肉眼では確認できない微細な尿跡や体液の染み込みが、臭いの原因となっていることがあります。こうした見えない汚染箇所を自力で特定し、処理することは非常に困難です。
一般的な市販の消臭剤では、表面的・一時的な消臭効果はあっても、建材の奥深くに染み込んだ臭い成分までは除去できないため、完全な消臭は期待できません。特に長期間にわたって染み込んだ臭いの場合は、専門的な対応が必要になります。
ハウスクリーニングで完全消臭はできる?
通常のハウスクリーニング業者に依頼した場合でも、ペットの臭いの完全消臭は難しい場合が多いです。その理由は以下の通りです。
1. 専門機材の不足
一般的なハウスクリーニングで使用する機材や洗剤は、日常的な汚れや臭いを対象としており、ペットの排泄物による頑固な臭いを除去するための専門的な機材や薬剤が不足していることがあります。
2. 専門知識の限界
ペットの臭いの種類や建材への浸透メカニズムに関する専門的な知識がないと、適切な処理方法を選択できないことがあります。通常のハウスクリーニング業者は、一般的な清掃のスキルは高くても、ペット臭の特性に対応した専門知識を持っていない場合があります。
3. 対応範囲の限界
一般のハウスクリーニングでは、表面的な清掃が中心で、床下や壁裏などの深部に浸透した臭いには対応できないことがほとんどです。特に尿などの液体が建材の奥まで染み込んでいる場合は、表面清掃だけでは不十分です。
ハウスクリーニングでは、見た目の汚れは落とせても、建材に染み込んだペットの臭いを完全に除去することは難しく、退去時の検査で臭いを指摘されるリスクが残ります。特にペット不可物件の場合は、より厳しくチェックされる可能性が高いので注意が必要です。
完全消臭なら特殊清掃会社へ
ペットの臭いを確実に除去するためには、特殊清掃を専門とする業者への依頼がおすすめです。特殊清掃会社には以下のような強みがあります。
1. 臭いの原因特定能力
特殊清掃会社は、ブラックライト(紫外線ライト)などの専門機器を使用して、肉眼では見えないペットの尿跡を正確に特定できます。これにより、臭いの発生源を確実に特定し、効率的な処理が可能になります。
2. 専門的な機材と薬剤
オゾン発生装置や特殊な消臭・除菌剤など、一般のクリーニング業者では扱わない専門的な機材や薬剤を使用します。これらによって、建材の深部まで浸透した臭い成分を科学的に分解・中和することが可能です。
3. 素材に応じた処理法
フローリング、カーペット、畳、壁紙など、さまざまな建材に対して、それぞれの素材特性に合わせた最適な処理方法を選択します。これにより、建材を傷めることなく効果的に臭いを除去できます。
4. 徹底的な除菌・消臭処理
表面的な清掃だけでなく、床下や壁の内部など、臭いの染み込んだ場所に対して徹底的な処理を行います。特に重要なのは、臭いの原因となる微生物を完全に除去することで、臭いの再発を防止できる点です。
5. 建材の構造を考慮した処理
特殊清掃会社は建材の構造や特性を熟知しており、例えばフローリングであれば木材の種類や施工方法に応じた処理を選択します。畳の場合は表面だけでなく畳床まで考慮した処理を行い、壁紙の場合は素材や接着剤の特性に合わせた対応をします。
6. 臭いの種類に応じた対策
ペットの尿臭、体臭、糞臭など、臭いの種類によって最適な処理方法は異なります。特殊清掃会社は臭いの成分を分析し、それぞれに最適な消臭・除菌方法を選択します。例えば尿臭には酸性またはアルカリ性の特殊薬剤で中和処理を行い、体臭には脱脂効果のある洗剤と抗菌処理を組み合わせるなど、科学的なアプローチを取ります。
特殊清掃会社による処理は、単なる「臭い隠し」ではなく、臭いの原因となる成分を化学的に分解・除去するため、効果が持続します。ペット不可物件での飼育が発覚した場合でも、特殊清掃によって完全に臭いを除去できれば、原状回復費用を最小限に抑えられる可能性があります。
猫や犬のペット消臭の費用相場は?
特殊清掃会社に依頼する場合の費用相場について見ていきましょう。費用は作業範囲や汚染の程度によって大きく変わります。
間取りや作業範囲で費用相場が変わる
特殊清掃による消臭作業の費用は、主に以下の要因によって変動します。
・ワンルーム・1K:3〜8万円
・1LDK・2K:5〜12万円
・2LDK・3K:8〜18万円
・3LDK以上:12〜30万円以上
・軽度(臭いのみ):基本料金の0.8〜1倍
・中度(染みを伴う臭い):基本料金の1〜1.5倍
・重度(広範囲の染み・臭い):基本料金の1.5〜2倍以上
・フローリング:標準的な料金
・カーペット:やや高め(繊維への浸透が深いため)
・畳:高め(交換が必要になる場合が多い)
・オゾン消臭:1〜3万円
・光触媒コーティング:5〜15万円
・床下処理:3〜8万円
・壁紙の部分張り替え:2〜10万円
特に猫の尿による汚染が重度の場合は、床材の剥離や交換など大がかりな作業が必要になることもあり、費用が高額になる傾向があります。事前の現地調査で正確な見積もりを取ることが重要です。
ハウスクリーニングと比べると?
特殊清掃とハウスクリーニングでは、費用にどのような違いがあるのでしょうか。
・ワンルーム・1K:2〜5万円
・1LDK・2K:3〜7万円
・2LDK・3K:5〜10万円
・3LDK以上:8〜15万円以上
特殊清掃は一般的なハウスクリーニングと比較すると確かに割高になる傾向がありますが、その理由には以下のような違いがあります。
1. 使用機材・薬剤の違い
特殊清掃では、オゾン発生装置や業務用の強力な消臭・除菌剤など、高価な専門機材や薬剤を使用します。これらは一般のハウスクリーニングでは使用しない特殊なものであるため、コストが高くなります。
2. 技術と専門知識の違い
特殊清掃のスタッフは、ペットの臭いの特性や建材への浸透メカニズムに関する専門的な知識と技術を持っています。この専門性に対する対価が費用に反映されます。
3. 作業の徹底度の違い
特殊清掃では、表面的な清掃だけでなく、床下や壁の内部など、臭いの染み込んだ場所に対して徹底的な処理を行います。このような詳細かつ徹底した作業には、より多くの時間と労力が必要です。
4. 効果の違い
一般的なハウスクリーニングでは、表面的な清掃効果は得られても、建材に深く染み込んだペットの臭いを完全に除去することは困難です。特殊清掃では、臭いの原因となる成分を化学的に分解・除去するため、効果が持続します。
一見すると費用は高く感じるかもしれませんが、退去時に臭いが残っていることで生じる原状回復費用(壁紙や床材の全面張り替えなど)を考えると、事前に特殊清掃を依頼することで総合的なコストを抑えられる可能性が高いです。特にペット不可物件で飼育していた場合は、契約違反によるペナルティが発生するリスクもあるため、確実な消臭処理が重要です。
ペット(猫)の特殊清掃事例紹介
猫ちゃんを多頭飼いされたまま孤独死した状態で発見されたお部屋の特殊清掃でございました。
糞尿が広範囲に広がっていて臭いも染みついていたため、オゾン脱臭機を使用して臭いの元から完全消臭をいたしました。
間取り | 3LDK |
作業日数 | 10日間 |
料金 | 50万円 |

事例詳細は以下ページをご覧ください。
まとめ
ペット不可物件で犬や猫を飼育した場合、退去時には臭いの問題で高額な原状回復費用が発生するリスクがあります。自力での消臭や一般的なハウスクリーニングでは、建材に深く染み込んだペットの臭いを完全に除去することは困難です。特に猫の尿や犬の体臭は建材に浸透しやすく、専門的な対応が必要になります。
特殊清掃業者による専門的な処理は費用が一般的なハウスクリーニングより高めですが、退去時のトラブルや追加の原状回復費用を防ぐ点で結果的にコスト効果が高いといえます。退去前の計画的な対応と信頼できる特殊清掃業者の選択が、スムーズな退去と余計な費用負担の回避につながります。