アパートやマンションで孤独死が発生した場合の対処方法!清掃費用は遺族に請求ができる!?

2025.04.06(公開日)
2025.04.06(最終更新日)
この記事で分かること

✔ 管理物件で孤独死が発生した時の正しい対処方法

✔ 特殊清掃費用の法的費用負担者

アパートやマンションなどの賃貸物件を管理していると、入居者の孤独死に直面する可能性があります。孤独死は、誰にも看取られることなく亡くなり、その後しばらく発見されない状態を指します。

このような事態が発生すると、大家さんや管理会社は多くの問題に直面します。「どのように対処すればいいのか?」「清掃費用は誰が負担するのか?」「次の入居者を募集する際に注意点はあるのか?」など、さまざまな疑問や不安が生じることでしょう。

特に夏場は高温多湿の環境で遺体の腐敗が早く進み、臭いや汚染が広がりやすくなります。適切かつ迅速な対応が求められる状況です。

この記事では、アパートやマンションで孤独死が発生した場合の適切な対処方法から、清掃費用の負担者、特殊清掃の費用相場まで詳しく解説します。物件管理者の皆様が、この困難な状況を適切に乗り越えるための参考になれば幸いです。

管理物件(アパート・マンション)で孤独死が起きた場合の対処

まず、管理物件で孤独死が発生した場合の基本的な対処手順を見ていきましょう。迅速かつ適切な対応が、その後のトラブルを最小限に抑える鍵です。

すぐに警察に連絡する

孤独死を発見したら、まず最初に警察に通報することが必要です。これは事件性の有無を確認するための重要なステップです。

警察への通報時のポイント

・冷静に状況を説明する(住所、発見者の情報、発見の経緯など)

・現場には極力触れない(警察の指示があるまで)

・警察が到着するまで現場を保全する

警察は死因の特定や事件性の有無を確認するため、検視や現場検証を行います。この間は、部屋の状態を変えることはできません。検視が終わり「死体検案書」が発行されてから、初めて特殊清掃などの対応が可能になります。

この段階で家族や親族への連絡も行われますが、警察が対応することが一般的です。家主や管理会社が独自に遺族へ連絡を取ることも可能ですが、デリケートな状況ですので、言葉遣いや伝え方には十分な配慮が必要です。

すぐに特殊清掃会社へ連絡する

警察の現場検証が終了したら、速やかに特殊清掃会社に連絡しましょう。特に夏場は時間の経過とともに状況が急速に悪化するため、早急な対応が重要です。

特殊清掃会社への連絡時に伝えるべき情報

・物件の住所と間取り

・発見までの経過時間(わかる範囲で)

・現場の状況(臭いの強さ、汚染の範囲など)

・現場確認の希望日時

多くの特殊清掃会社は24時間対応しており、状況に応じた適切なアドバイスをしてくれます。複数の業者に連絡して見積もりを取り、比較検討することも大切です。

特殊清掃は専門的な知識と技術、そして特殊な装備が必要な作業です。一般の清掃業者では対応できない場合が多いため、必ず特殊清掃の実績がある業者に依頼しましょう。

特殊清掃から原状回復までの費用負担者を確認する

費用負担者の確認手順

1. 賃貸借契約書の確認(特約条項の有無)

2. 連帯保証人や保証会社の有無の確認

3. 借主(故人)の相続人の確認

4. 家財保険の加入状況の確認

これらの確認は、特殊清掃を依頼する前に行っておくと安心です。費用負担者が明確になっていれば、その後のトラブルを防ぐことができます。詳細については後述しますが、基本的には借主側(連帯保証人や相続人)に請求できるケースが多いです。

賃貸借契約を確認する

費用負担者を明確にするためには、賃貸借契約書の内容を確認することが重要です。特に以下の点に注目しましょう。

賃貸借契約書での確認ポイント

・原状回復に関する特約条項

・特殊清掃費用に関する記載

・事故・死亡時の対応に関する取り決め

・連帯保証人や保証会社に関する情報

多くの賃貸借契約書には、「通常の使用による劣化・損耗を除く、借主の責任で発生した損害については借主負担」といった条項があります。孤独死による特殊清掃や原状回復は「通常の使用」の範囲を超えるものとして、借主(相続人)に請求できるケースが多いです。

また、最近の賃貸借契約では、「入居者が死亡した場合の特殊清掃費用は相続人が負担する」という明確な条項を設けているケースも増えています。

原状回復にかかる費用は遺族請求できる?

アパートやマンションの孤独死で最も悩むポイントの一つが、特殊清掃や原状回復にかかる費用の負担者の問題です。ここでは、費用を遺族に請求できるのかについて詳しく解説します。

特殊清掃費用等は遺族に請求ができる

結論から言うと、孤独死によって発生した特殊清掃費用や原状回復費用は、基本的に遺族(相続人)に請求できます。これは以下の法的根拠に基づいています。

特殊清掃費用を遺族に請求できる根拠

・民法第709条(不法行為による損害賠償)

・民法第415条(債務不履行による損害賠償)

・賃貸借契約における原状回復義務

特に近年の判例では、孤独死による特殊清掃費用や原状回復費用は「通常の原状回復を超える特別な損害」として、相続人に請求できるとの判断が示されています。

ただし、請求にあたっては適正な金額であることが重要です。過剰な費用請求はトラブルの原因となるため、複数の業者から見積もりを取るなど、適正な金額での請求を心がけましょう。

賃貸借契約は相続人に引き継がれる

借主(故人)の死亡によって賃貸借契約が当然に終了するわけではありません。民法の原則に従って、契約上の権利義務は相続人に引き継がれます。

相続人に引き継がれる主な義務

・賃料の支払い義務

・原状回復義務

・損害賠償義務

つまり、借主が亡くなった場合でも、相続人が契約上の義務を引き継ぐため、特殊清掃費用や原状回復費用を相続人に請求することが可能です。

ただし、相続人が相続放棄をした場合は状況が変わります。相続放棄が受理されると、原則として被相続人(故人)の債務を相続することはなくなります。しかし、特殊清掃費用が「相続債務」に該当するかどうかについては、法的見解が分かれる場合もあります。

未払い家賃は連絡保証人か相続人に請求ができる

故人の未払い家賃についても、連帯保証人や相続人に請求できます。請求の優先順位は以下の通りです。

未払い家賃の請求先(優先順位)

1. 連帯保証人(個人または保証会社)

2. 相続人(故人の家族や親族)

連帯保証人がいる場合は、まず連帯保証人に請求します。連帯保証人は故人と同等の支払い義務を負うため、未払い家賃を請求できます。保証会社が連帯保証人になっている場合は、保証会社に請求することになります。

連帯保証人がいない場合や、保証限度額を超える場合は、相続人に請求することになります。相続人が相続放棄をしていない限り、未払い家賃の支払い義務があります。

連帯保証人や相続人がいない場合は物件管理者が負担する

最も困るケースが、連帯保証人も相続人もいない(または相続放棄された)場合です。この場合、残念ながら物件管理者(大家や管理会社)が費用を負担せざるを得ないことが多いです。

物件管理者が負担するケース

・連帯保証人がおらず、相続人全員が相続放棄した場合

・故人に相続人がいない場合

・相続人の所在が不明な場合

・保証会社の保証限度額を超える場合

こうしたリスクに備えるためには、入居者に家財保険への加入を促すことや、保証会社を利用することが重要です。最近では、「孤独死特約」が付いた家財保険もありますので、入居時に加入を勧めることも一つの対策です。

また、高齢者や単身者が多い物件では、定期的な安否確認サービスを導入するなど、孤独死の早期発見のための対策を講じることも重要です。

特殊清掃費用相場

アパートやマンションでの孤独死後の対応を計画する上で、特殊清掃費用の相場を知っておくことは重要です。ここでは、一般的な費用相場をご紹介します。

間取りやお部屋の広さによって変わる

特殊清掃の基本料金は、部屋の広さや間取りによって大きく変動します。以下は一般的な相場です。

間取り別の特殊清掃費用相場

・1R・1K: 15万円~25万円

・1DK・2K: 20万円~35万円

・2DK・3K: 30万円~50万円

・3LDK以上: 50万円~80万円

ただし、これはあくまで基本的な清掃費用の目安です。発見までの期間や汚染の程度によって、さらに費用が変動します。例えば、発見が1週間以上遅れた場合は、上記の1.5~2倍程度の費用がかかることもあります。

特に夏場は高温多湿の環境で腐敗が早く進むため、同じ期間でも冬場に比べて状態が悪化しやすく、費用が高くなる傾向があります。

特殊清掃作業内容によって変わる

特殊清掃の費用は、必要な作業内容や範囲によっても変わります。以下は主な作業項目ごとの費用目安です。

作業項目別の費用目安

・基本清掃(血液・体液の除去): 10万円~30万円

・消臭・除菌処理: 5万円~15万円

・オゾン脱臭: 3万円~8万円

・害虫駆除: 3万円~10万円

・床材の交換(部分的): 5万円~15万円

・壁紙の張替え: 3万円~10万円

例えば、発見が早く、汚染が限定的な場合は基本清掃と簡易的な消臭だけで済むこともありますが、発見が遅れた場合は上記のすべての作業が必要になることもあります。

見積もり時には、これらの作業のうち何が必要で、何が不要かを明確に説明してもらうことが重要です。不必要な作業を勧められることもあるので、複数の業者から見積もりを取ることをお勧めします。

孤独死が起きたお部屋の特殊清掃作業範囲

アパートやマンションで孤独死が発生した場合、特殊清掃ではどのような作業が行われるのでしょうか。ここでは、一般的な特殊清掃の作業範囲をご紹介します。

除菌作業

特殊清掃の重要な作業の一つが除菌作業です。孤独死現場にはさまざまな細菌やウイルスが存在する可能性があり、健康被害を防ぐためにも徹底的な除菌が必要です。

除菌作業の内容

・医療レベルの消毒剤による消毒

・感染リスクのある部分の特別処理

・床下や壁内部の除菌処理

・空間全体の除菌処理

除菌作業は目に見えない部分も含めて徹底的に行われます。特に体液や血液が浸透した箇所は、建材の深部まで除菌する必要があります。

消臭作業

孤独死現場で最も問題となるのが強烈な臭いです。特に発見が遅れた場合、臭いは建材に深く染み込み、一般的な消臭剤では対応できません。

消臭作業の内容

・特殊消臭剤の散布

・オゾン脱臭処理

・イオン消臭機の使用

・必要に応じた建材(畳、床材など)の交換

消臭作業は単に臭いを覆い隠すのではなく、臭いの原因物質を化学的に分解・除去する処理が行われます。完全な消臭のためには、場合によっては複数回の処理が必要になることもあります。

汚物撤去作業

孤独死現場では、体液や血液などの汚物の撤去も重要な作業です。これらは感染症のリスクがあるため、専門的な処理が必要です。

汚物撤去作業の内容

・専用の防護服や装備を着用した安全な作業

・体液や血液の痕跡の特定と除去

・感染性廃棄物としての適切な処理

・目に見えない微小な汚染の検出と除去

特殊清掃業者は専用の検知薬を使用して、肉眼では確認できない血液痕なども特定し、徹底的に除去します。これにより、見えない部分を含めた完全な清掃が可能になります。

清掃作業

汚物撤去や除菌、消臭の後には、通常の清掃作業も行われます。これにより、部屋全体が清潔な状態に戻ります。

清掃作業の内容

・床・壁・天井などの表面清掃

・窓やサッシの清掃

・水回り(キッチン、浴室、トイレ)の清掃

・エアコンなど設備の清掃

清掃作業は特殊清掃の最終段階として行われ、部屋を次の入居者を迎えられる状態に戻すための重要なステップです。

遺品整理

孤独死現場には故人の遺品が残されています。これらの整理も特殊清掃の範囲に含まれることが多いです。

遺品整理の内容

・貴重品(現金、通帳、宝飾品など)の探索・保管

・思い出の品(写真、手紙など)の仕分け

・日用品や家具の整理

・不用品の適切な処分

遺品整理は法的な問題も含む作業です。貴重品や思い出の品は相続人に引き渡すべきものなので、きちんと仕分けて保管することが重要です。特殊清掃業者の多くは、遺品整理の専門知識も持っているため、安心して任せることができます。

まとめ

アパートやマンションでの孤独死は、物件管理者にとって大きな負担ですが、適切な対応と知識があれば、この困難な状況を乗り越えることができます。

孤独死の問題は、高齢化社会の進行とともに今後ますます増加する可能性があります。物件管理者として適切な知識を持ち、事前の対策と発生時の迅速な対応を心がけることで、リスクを最小限に抑えることができます。

特殊清掃や費用負担について不安がある場合は、特殊清掃の専門業者や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。適切なアドバイスを受けることで、スムーズな対応が可能になるでしょう。

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