孤独死現場のウジ虫駆除は特殊清掃でないと難しい!?特殊清掃業者に依頼すべき理由を解説

2025.08.23(公開日)
2025.08.31(最終更新日)
孤独死現場のウジ虫駆除は特殊清掃でないと難しい!?特殊清掃業者に依頼すべき理由を解説
この記事で分かること

✔ ウジ虫駆除が特殊清掃業者でないとできない理由

✔ ウジ虫駆除にかかる特殊清掃料金相場

孤独死が起きた部屋で大量のウジ虫やハエを目にすると、どう対処すべきか分からず不安になる方も多いでしょう。害虫の発生は不快なだけでなく、病原菌の媒介や悪臭拡散など、衛生面で深刻なリスクを伴います。

孤独死現場では遺体の腐敗が進むことで体液や血液が汚染源となり、ウジ虫が急速に繁殖します。このため一般的な清掃や害虫駆除だけでは根本的な解決が難しく、専門的な特殊清掃が必要です。

この記事では、ウジ虫が発生する原因や一般清掃で対応できない理由、特殊清掃業者に依頼すべき根拠、さらに作業の流れや費用について解説します。少しでも判断の参考になれば幸いです。

この記事の要約

孤独死現場では、遺体の腐敗により発生する死臭がハエを誘引し、産卵・孵化で大量のウジ虫が繁殖します。このような状況は、自力や一般的な清掃会社で対処するのは困難であり、病原菌の媒介や精神的影響など衛生・安全面で深刻なリスクを伴います。
特殊清掃業者は、専用の防護服や薬剤、機材(オゾン発生器・高性能バキューム等)を使い、完全な駆除・消毒・消臭を実施。作業は密閉状態での駆除・清掃・再駆除・オゾン脱臭と段階的に行われ、死臭も分子レベルで除去されます。
料金は間取りや汚染の程度によって変動し、1R~1Kは10万~25万円、1LDK~2LDKは15万~35万円、3LDK~4LDKは25万~50万円、5LDK以上では40万~80万円以上が相場です。
ただし、建材交換や脱臭延長などが必要な場合は追加費用が発生します。早期に専門業者へ相談することが、安全かつ確実な解決策です。

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孤独死が起きた部屋でウジ虫が発生する理由

孤独死が起きた部屋では、なぜウジ虫が大量発生してしまうのでしょうか。その根本的な原因について詳しく見ていきましょう。

死臭が原因でウジ虫が発生する

孤独死現場でウジ虫が発生する根本的な原因は、遺体から放たれる強烈な死臭です。人が亡くなると体内の微生物によって腐敗が進み、アンモニアや硫化水素などの臭気成分が発生します。これらはハエにとって「産卵に適した環境」のサインです。

ハエは驚異的な嗅覚を持ち、数十メートル先からでも死臭を感知し、短時間で現場に集まります。そして到着すると、遺体の口や鼻、耳、傷口などに卵を産み付けます。メスは一度に50〜150個、合計で500個近い卵を産むとされており、短期間で大量のウジ虫が発生してしまいます。

孤独死の発見が遅れるほど死臭は強まり、さらに多くのハエを呼び寄せることになります。日本少額短期保険協会の調査によれば、孤独死が発見されるまでの平均は約17日であり、その間にウジ虫が大量繁殖してしまうケースが少なくありません。

ウジ虫の駆除が特殊清掃業者でないと難しい理由

孤独死現場で発生したウジ虫は、単なる害虫ではなく、健康被害や精神的ストレスを引き起こす深刻な要因です。一般的な清掃会社や個人での対応では限界があり、専門業者でなければ完全な駆除は困難です。

ウジ虫は人体に与える影響が大きい

ウジ虫は直接人を攻撃するわけではありませんが、遺体の体液や血液を餌にしているため、多くの病原菌を媒介します。

代表的なものには以下があります。

細菌:大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、O157、赤痢菌、コレラ菌、腸炎菌

症状例:下痢、嘔吐、発熱など。重症化すれば入院治療が必要になるケースもある

さらに、ウジ虫が這った場所には目に見えない病原菌が付着し、表面的な清掃だけでは除去できません。また、害虫の存在自体が近隣住民に強い不安やストレスを与え、生活環境を悪化させます。

通常の清掃会社では難しい理由

通常の清掃会社では、ウジ虫の駆除を十分に行うことが難しい理由がいくつもあります。

まず、市販の殺虫剤は成虫には一定の効果があるものの、ウジ虫にはほとんど効きません。専用の駆除剤もありますが、使用後に強烈な臭いが残ってしまい、別の問題を引き起こすことがあります。

また、適切な方法を知らずにウジ虫を物理的に処理しようとすると、かえって汚染を広げてしまう危険もあります。踏みつぶすことで体液が飛び散り、床や壁にさらなる汚染を残すケースも少なくありません。

さらに、通常の清掃会社は特殊清掃に必要な機材を持っていないという問題もあります。高性能な吸引装置やオゾン発生器、専用の消毒薬剤や防護服といった装備は、特殊清掃業者でなければ準備できません。

作業員の安全確保の面でも課題があります。孤独死現場では感染症のリスクが非常に高く、正しい知識と防護手順を身につけていない作業員が対応すれば、健康被害につながる恐れがあります。

加えて、単純な清掃作業だけでは済まない点も大きな問題です。汚染の拡散防止や感染性廃棄物の適正処理、近隣住民への配慮など、専門的な知識と経験が欠かせないため、一般の清掃会社では対応が難しいのです。

ウジ虫の清掃を特殊清掃業者に依頼すべき理由

孤独死現場で発生するウジ虫は、表面的に取り除いても再び繁殖する可能性があります。その原因となる「死臭」と「害虫の温床」を同時に解決できるのが、特殊清掃業者に依頼すべき大きな理由です。

死臭を完全に消臭できる

死臭の消し方について以下記事でも紹介しております。

特殊清掃業者は、一般的な消臭剤では対応できない強烈な死臭を、分子レベルで分解する技術を持っています。孤独死現場で発生する死臭は、単なる悪臭ではなく、アンモニアや硫化水素、インドールといった腐敗成分が複雑に混ざり合ったものです。芳香剤や市販の消臭スプレーで一時的に臭いを覆い隠すことはできますが、根本的に除去はできません。

特殊清掃業者は以下の工程を段階的に行い、徹底的に臭気を除去します。

オゾン発生器による強力な酸化力で、換気では数年かかる臭いも1〜2日で消臭

コーティング剤で建材に染み込んだ臭気を封じ込め、再発を防止

段階的な作業(消毒 → オゾン燻蒸 → コーティング)により、完全な無臭状態を実現

この方法は、単に「匂いをごまかす」のではなく、科学的に臭気分子を破壊・無害化する点が決定的に異なります。

特殊清掃業者ならではの害虫駆除ができる

害虫駆除についても、通常の清掃会社では不可能な高度な方法が用いられます。孤独死現場で発生するウジ虫やハエは病原菌を媒介する危険があり、確実な処理が不可欠です。

専用バキューム装置でウジ虫を潰さず回収し、高温処理で確実に駆除

業務用殺虫剤を使い、成虫と卵を同時に駆除

完全密閉した状態で作業するため、害虫の逃走や近隣への影響を防止

サッシや床下、配管、エアコン内部など、目に見えない場所の徹底調査・除去も実施

このように、消臭と駆除を組み合わせることで、現場を根本から清浄化できるのは特殊清掃業者ならではの強みです。単なる「清掃」ではなく、科学的かつ包括的な対応が求められる理由がここにあります。

特殊清掃業者がウジ虫を駆除する流れ

実際の現場では、次のような工程でウジ虫駆除と清掃が行われます。 安全を確保しつつ、発生源の除去から衛生環境の回復までを段階的に進めていくのが基本です。

部屋を閉め切る

作業の第一段階は現場の完全密閉です。窓やドア、換気扇をすべて閉じることで、害虫や悪臭が外部へ拡散するのを防ぎます。特に孤独死現場では、数百匹以上のハエが飛び回っていることもあり、そのまま外に出れば近隣住民への深刻な迷惑となるため、この工程は極めて重要です。

作業員は防護服・マスク・ゴーグルを完全装備し、感染症や悪臭から身を守ります。さらに、入室の際には外部との気圧差を利用して汚染空気が外へ漏れ出さないようにする特殊手順を踏みます。こうして密閉環境を整えることで、後の薬剤散布が均一に行き渡り、駆除効果を最大限に発揮させることができます。

専用薬剤で虫を駆除する

密閉が完了すると、次は業務用の強力な殺虫剤をガス状にして散布します。これにより、飛び回るハエを一斉に駆除することが可能です。

一方、ウジ虫に対しては市販薬剤では効果が薄いため、塩素系や専用駆除剤をピンポイントで噴霧します。また、目に見えない卵や幼虫が残っていると数日後に再発する危険があるため、孵化を防ぐ薬剤も併用します。こうした多層的な薬剤処理が、特殊清掃の大きな特徴です。

汚染箇所を清掃する

害虫駆除の後は、現場の徹底的な清掃に移ります。まず、高性能バキューム装置で死骸やウジ虫を吸引し、潰して汚染を広げないよう丁寧に回収します。

遺体があった場所や体液が染み込んだ床・壁は、もっとも感染リスクが高い部分です。ここには大量の細菌やウイルスが存在するため、専用の強力な消毒剤を使って念入りに除菌します。さらに、床や壁の内部にまで浸透した汚染は、高圧洗浄や特殊洗剤を使って徹底的に洗浄します。

汚染が深刻な場合は、畳・カーペット・壁紙といった建材を撤去・交換する必要もあります。見た目をきれいにするだけでなく、構造材にまで入り込んだ病原菌や臭気の根を断つことが目的です。

再度専用薬剤で害虫を駆除する

清掃が終わった段階でも、隙間や家具の裏などに害虫が潜んでいる可能性があります。そのため、再度薬剤を散布し、見落としゼロを目指す精密駆除を行います。

このときは残留効果の高い薬剤を選び、後から侵入してきた害虫にも効力を発揮できるよう処理します。こうした「予防的駆除」によって、再発リスクを徹底的に抑え込みます。

脱臭機で室内を消臭する

最後に、オゾン脱臭機を24〜72時間稼働させ、死臭を分子レベルで分解します。オゾンは強力な酸化力を持ち、通常の換気や消臭剤では消えない悪臭も短期間で除去可能です。

消臭中は立ち入りが制限されますが、作業後は十分に換気を行い、臭気測定器で効果を数値的に確認します。完全に無臭状態であることを保証してから、依頼者に現場を引き渡します。

ウジ虫の駆除が伴う特殊清掃料金

ウジ虫駆除を含む特殊清掃の料金は、部屋の広さ・汚染の程度・作業内容によって大きく変動します。ここでは一般的な相場感をご紹介します。

特殊清掃の料金相場は以下記事でも紹介しております。

間取りによって料金が変わる

特殊清掃の基本料金は、部屋の広さと汚染範囲に比例します。間取り別の相場と特徴は以下の通りです。

1R~1K:10万〜25万円程度

狭い空間であっても、汚染が集中するため非常に密度の高い作業が必要です。特に夏場は腐敗が進みやすく、床や壁に体液が浸透しているケースも多く見られます。そのため、清掃作業自体は1日程度で終わる場合もあれば、汚染が深刻だと建材の撤去を伴い費用が上がります。

1LDK〜2LDK:15万〜35万円程度

リビング部分と寝室・キッチンなど複数箇所で汚染度合いが異なることが多く、部屋ごとに異なる消臭や清掃が必要です。比較的軽度であれば2日程度で作業が完了しますが、害虫が各部屋に拡散している場合は、より大掛かりな作業です。

3LDK〜4LDK:25万〜50万円程度

広さに加え、複数部屋に汚染が及んでいるケースが多いため、現場調査から詳細なプランを組み立てる必要があります。死臭が家全体に広がっていると、消臭処理の期間が長引き、費用が高くなる傾向があります。

5LDK以上:40万〜80万円以上

広範囲にわたるため、作業日数は数日から1週間以上かかることも珍しくありません。特に二世帯住宅や一軒家の場合、床下や屋根裏にまで害虫が入り込んでいるケースもあり、より専門的な対応が必要です。

これらの料金には、害虫駆除・清掃・消毒・消臭といった基本作業が含まれます。ただし、畳や壁紙などの建材撤去・交換、遺品整理や大型家具の搬出といった作業は別途費用が発生するため、事前に見積もりで確認することが重要です。

作業内容によって料金が変わる

特殊清掃の料金は、汚染の程度や追加作業の有無によって大きく変動します。

まず大きな要因となるのが発見までの経過時間です。死後3日以内なら軽度で済みますが、1週間を超えると腐敗や臭気が深刻化し、建材交換や大規模な消臭作業が必要になり料金が大幅に上がります。

また、季節要因も無視できません。特に夏場(6〜9月)は腐敗の進行が早く、害虫の発生量も多くなるため、料金が10〜20%ほど増加する傾向があります。

さらに、現場の状況に応じて以下のような追加費用がかかることもあります。

オゾン脱臭:1日あたり約3万円(重度の臭気では複数日必要)

害虫駆除:1万〜5万円(発生量に応じて変動)

建材交換:畳1枚3,000〜5,000円、壁紙1㎡あたり1,000〜2,000円

特殊機材使用:高圧洗浄機 1〜2万円、特殊バキューム 2〜3万円

緊急・時間外対応:基本料金の10〜50%割増

このように、特殊清掃の費用は現場ごとに大きく異なります。見積もりを依頼する際には、追加料金の条件を事前に確認しておくことが大切です。

まとめ

孤独死現場でのウジ虫発生は、死臭に誘われたハエの産卵によって起こり、衛生面・健康面に深刻なリスクをもたらします。ウジ虫やハエは病原菌を媒介し、人体への感染リスクだけでなく、近隣住民への精神的な負担にもつながります。

一般的な清掃業者では、設備や技術、安全管理が不十分なため、完全な駆除は困難であり、かえって状況を悪化させる危険もあります。そのため、死臭の完全消臭や専門的な害虫駆除が可能な特殊清掃業者への依頼が不可欠です。

孤独死現場のウジ虫問題に直面した際は、早期に特殊清掃業者へ相談することが最も安全で確実な解決策です。専門的な技術と設備により、衛生的で安心できる住環境を取り戻すことができます。